オートフォーカスとは何でしょうか。
カメラ初心者さんからよく質問されることがあります。
英語では「Auto Focus」と記載しますが、直訳すると「自動焦点」です。
簡単に説明します。
スマートフォンやコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)を使った撮影は基本オートフォーカスでの撮影になります。
一眼レフ、ミラーレス一眼レフをお持ちの方はオートフォーカス以外にもマニュアルフォーカス(MF)での撮影が可能です。マニュアルフォーカスでは、被写体に対してピントを手動で合わせる必要があります。
オートフォーカス(AF)機能があることで、一回一回被写体にピントを合わせる必要がないので、撮影時に非常に便利な機能と言えます。
今回はオートフォーカス機能に関し、その仕組みや種類に関し簡単に説明していきたいと思います。
目次
オートフォーカスの仕組み
冒頭で記載した通りで、オートフォーカスは、焦点を自動で被写体に合わせてくれる機能です。
「自動で焦点を合わせる」というのはどういう機能かというと、マニュアルフォーカスで撮影したことがある人にはイメージがしやすいかと思いますが、フォーカスリングを回してピントを調整する作業を自動的に行ってくれるということです。

被写体との距離によってフォーカスリングを回し微調整を繰り返す必要がありますが、この手間がなくなるとなるとかなり便利です。神機能です。
上記の通り、焦点を自動的にあわせるには、被写体との距離感を掴む必要があり、それを叶えるオートフォーカス方式には「アクティブ方式」「パッシブ方式」の2種類が存在します。
以下で簡単にご紹介します。
アクティブ方式

ポラロイドカメラ(チェキ)や写ルンですなどのインスタントカメラ(使い切りカメラ)で利用されているオートフォーカスです。
アクティブ方式のオートフォーカスとは超音波や赤外線を利用して、物体との距離を計測し、ピントを合わせる技術です。
例えば、昔のポラロイドカメラは超音波を被写体にぶつけて、そこに反射した音がカメラに戻ってくる時間から距離を逆算して被写体と焦点を合わせていました。
盲目の人が舌を鳴らし、その音の響きを聴き、周囲との距離を感知し外観を認識する「エコーロケーション」と同じ仕組みです。
ですが、この音の反響はガラスなどの障害物を挟むと遮断されることがあり、被写体との距離をつかめないシーンがありました。
そこで現在のポラロイドカメラでは赤外線を採用しています。被写体に赤外線を当てて、そこで反射してレンズまで戻ってきた光の強さから被写体の距離を把握することが可能です。
ですが、赤外線を利用しても被写体までの距離が遠いと、赤外線および超音波が届かない場合があります。そのようなケースではアクティブ方式のオートフォーカスでは撮影が困難になります。
恐らく、「映るんです」や「チェキ」を使って遠くにいる人を撮影するケースは少ないのではないでしょうか。
パッシブ方式
パッシブには受け取るという意味があります。
ほとんどの一眼レフや一部のミラーレス一眼レフではこのパッシブ方式のオートフォーカス機能を採用しています。
パッシブ方式はアクティブ方式と違い、超音波や赤外線を発信することはありません。
カメラ本体に埋め込まれたコンピュータとセンサーが重要なキーとなっています。
パッシブ方式の中にも「コントラスト」方式と「位相差」方式とがありますので簡単に説明します。
パッシブ方式-コントラストAF
ミラーレス一眼レフやコンパクトデジタルカメラで採用されているフォーカス方式です。
コントラストAF搭載のカメラは「コントラスト」の差を読み取ることで、被写体との距離感を自動的に認識します。=ピントを適正な位置に合わせます。
仕組みとしては、以下になります
- カメラ内部のセンサーが画像のコントラストを読み取る
- カメラ内部のコンピュータが画像の中で一番コントラストが強い部分をピント(焦点)が合う位置だと判断する
- コンピュータはレンズに指令を出し、レンズを動かすことにより画像のコントラストが最も強くなる位置を探す
- これにより、ピント(焦点)が合う位置が自動で算出される
ただ、問題として、画像にコントラストの差がないと、コンピュータが適切な焦点を捉えられなくなります。例えば、コントラスト方式では白一面の壁にピントを合わせることが苦手です。

位相差AFとの違い
- カメラ内のコンピュータがコントラストの差を読み取るまでに時間がかかるため、シャッターを半押ししてからピント(焦点)を合わせるまでに時間がかかる
- 暗いところでの撮影時が得意
Panasonicのミラーレス一眼のLUMIXシリーズには空間認識AFという種類のコントラストAFが搭載されており、従来のコントラストAFよりも高速/高精度を表現できるようです。
わたしもLUMIXのG9proを所持していますが、一眼に負けず劣らずの爆速AFなのにピントもばっちりで重宝しています。
パッシブ方式-位相差(いそうさ)検出AF
一眼レフや一部のミラーレス一眼レフで採用されているフォーカス方式です。
- AF利用時にカメラ内部のコンピュータが二枚の画像を瞬時に撮影
- カメラ内部にあるオートフォーカスセンサーが上記画像を読み取る
- コンピュータが上記の情報を分析することで被写体との距離を判断し、焦点を合わせる
被写体にピント(焦点)が合うまでのスピードが比較的速いので、動いている被写体を撮影するのに向いています。
専用のオートフォーカスセンサーが必要になるので、カメラ本体が非搭載カメラに比べ大きく重くなります。
※SONYのαシリーズには
また、その他にも、画像処理をするのに光を必要とするため、暗いところだと使えないというデメリットがあります。
フォーカスにも種類がある(フォーカスモードを紹介)
一眼レフやミラーレス一眼レフに搭載されているオートフォーカスにも種類があります。
今回はいくつかの種類と使い方を簡単にご紹介します。
※LUMIXのカメラを例に出せせていただきます。カメラによって呼び名は変わりますが、基本的に機能は変わりません。
AFシングル(AFS)
固定された被写体(静止画)を撮影するのに向いているAFです。
ポートレート撮影や風景など動かないものを撮影するときに利用します。
シャッターを半押しすることで被写体にフォーカスを固定することができます。

ただ、固定後に”被写体”が動いてしまうとピンボケしてしまいます。
メーカによる呼び方の違い
キャノン | ワンショット |
---|---|
ニコン | AF-S |
オリンパス | S-AF |
LUMIX | AFS |
※機種によってはこのフォーカス方式が採用されていない場合があります
AFコンティニュアス(AFC)
動く被写体を撮影する際に向いているAFです。
お子さんの運動会や、動物園、水族館など動く被写体を撮影する際に利用します。

シャッター半押しで、小刻みにレンズが上下に動き、被写体に対しピントを合わせ続けます。
被写体が動いた時はそれに合わせてフォーカスを合わせてくれます。
ただし、小刻みに動くことで若干ピンボケする可能性もあります。
メーカによる呼び方の違い
キャノン | AIサーボ |
---|---|
ニコン | AF-C |
オリンパス | C-AF |
LUMIX | AFC |
※機種によってはこのフォーカス方式が採用されていない場合があります
AFフレキシブル(AFF)
どんな被写体を撮影する場合も万能に機能するAFです。
被写体によって「AFS」と「AFF」に変化するモードです。
たとえば被写体が動かなければAFSを維持し、動きのある被写体に対しては自動的にAFCに切り替えられます。
メーカによる呼び方の違い
キャノン | AIフォーカス |
---|---|
ニコン | AF-A |
LUMIX | AFF |
※機種によってはこのフォーカス方式が採用されていない場合があります
AFモードについて(AFの範囲を決めるエリア撮影機能)
一眼レフやミラーレス一眼レフにはフォーカスモードとは別にオートフォーカスモード(エリア撮影)という機能もあります。機能が多くてこんがらがっちゃいますよね。
AFモードにはフォーカスモードと違い、被写体や撮影シーンに最適化された様々な機能があります。主にAFの範囲を決めるエリア撮影機能だと思っていただいて問題ございません!
今回はその代表的な機能について紹介していきます。
顔・瞳フォーカスモード
人間の顔と瞳に焦点を合わせてくれるため、人物撮影に適したフォーカスモードです。
他オートフォーカスモードでは、顔にピントが合わなかったりするため、ポートレート撮影時には必ず「顔、瞳フォーカス」を利用しましょう。
利用シーン:ポートレート撮影(人物撮影)
追尾フォーカスモード
被写体が動くときに有効なAFモードです。
追いかけたい対象を選択(ロックオン)すると、その被写体を追いかけてくれます。
被写体の色を認識して追いかけてくれるため、動く被写体を撮影する場所で活躍します。
利用シーン:お子さんの運動会や、水族館、動物園
固定フォーカス/タッチフォーカス
被写体にピントが思うように合わない時に有効なフォーカスモードです。
任意にロックオンした位置にフォーカスを合わせ続けるため、顔認識モードで認識できなかった場合にはかなり使えるAFモードだと思います。
利用シーン:別のオートフォーカスでピントが合わない時など
AFのまとめ
今回はAF(オートフォーカス)に関してご説明させていただきました。
まとめとして、AFに関し、ざっくり表にまとめてみました。
AF方式と搭載カメラ
AF方式 | アクティブ方式 | パッシブ方式 | |
AF方式2 | 超音波/赤外線方式 | コントラスト方式 | 位相差方式 |
長所 | 暗所に強い | 暗所に強い | ピントがすぐに合う |
短所 | 被写体と近づいて撮影する必要あり | ピントが合うまで時間がかかる | 暗所が苦手 |
搭載カメラ | ポラロイドカメラ
使い捨てカメラ |
ミラーレス
コンデジ |
一眼レフ
ミラーレス |
フォーカス機能と特徴
フォーカスモード | AFS | AFC | AFF |
特徴 | 止まっているもの撮影向き | 動くものの撮影向き | どちらでも |
撮影例 | ポートレート(人物撮影) | 運動会・水族館等 | どこでも |
シーン別フォーカスモードのおすすめ
シーン別 | フォーカスモード | オートフォーカスモード |
ポートレート撮影 | AFS | 顔・瞳認識 |
水族館・動物園 | AFC | 追尾フォーカス |
運動会/水泳大会 | AFC | 顔・瞳認識 or 追尾フォーカス |
どこでも万能 | AFF | 固定/タッチフォーカス |
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。